FACTFULNESっていう本をご存知ですか。
著者のハンス・ロスリングさんはスウェーデンのお医者さんであり、公衆衛生の専門家です。オーラ・ロスリングとアンナ・ロスリング・ロンランドはハンスの子供さんです。 この、ファクトフルネスという書籍は多くの人が、『事実に基づいて世界を見ることが出来ていない。』と説いています。その要因として10の本能が起因するいわゆるフィルタリングの状況を示し、ファクトフルネス(事実に基づいた世界の見方)に至ろうと著していますが、その10の本能のうちに、「犯人探しの本能」というのがあります。
物事がうまくかないと、誰かがわざと悪い事を仕組んだように思いがちです。誰かの意思で物事は起きると信じたいものだし、一人ひとりに社会を動かす力と手立てがあると信じていれば、おのずとそう考えるようになる。「個人が社会を動かしていると考えれば、社会は得体の知れないものだという恐怖心を取り払える。」という、これが「犯人捜しの 本能」が働く要因なんですね。
しかし、気を付けなければいけないことがあります。 誰かを責めたいという本能から、事実に基づいて本当の世界を見ることができなくなってしまう。誰かを責めることに気持ちが向くと、学びが止まる。そうなるとそのほかの理由を見つけようとしなくなる。そのことは問題解決から遠のいてしまい、また同じ失敗をしでかしたりすることになる。誰かが悪いと攻めることで、複雑な事実から目をそらし、正しいことに力を注げなくなってしまう。
昭和50年代、大型店問題というのが全国の小規模なお店の大きな経営課題として出てきました。その当時は大型店が地域に出店してくるのが悪い。大型店が進出してきて地域の小売商業の環境を壊滅状態に追い込んだ。
確かにそういう状況はありました。しかし、大型店という犯人を見つけ出した地域の商店街、小売業者、商工会・商工会議所はそこで思考停止してしまい、地域の小売業者の課題解決を一歩先まで進めることを拒んでいたのです。
表面上の、目先の敵を叩いても、なんら問題解決には至ることが出来ないのです。
そもそも、本当の敵は大型店だったのでしょうか?敵という言葉は本当は適当な言葉ではありません。地域の小売業者が解決しなければいけなかった課題は大型店対策だけではなかったはずですね。